ガッツポーズ論

ガッツポーズ論

2018年夏。
第100回の記念大会ということもあって、盛り上がっている甲子園大会ですが、ちょっと気になる理由で思うようなピッチングが出来ず、敗戦投手となってしまったピッチャーがいました。
岡山代表、創志学園の西投手です。
私はこの投手が投げた1回戦をテレビで見ました。最速148キロの伸びのある直球や、角度のあるスライダーを低めに決めるものだから、バッターはなかなか打てない。実に16個もの三振を奪う、まさに快投でした!いい球を投げるなーと私も感心して見ていました。

 

ところが、2回戦で負けてしまいます。この試合は観戦していないので、報道をもとにざっくり書けば、相手チームの待球作戦に屈し、実に与えた四死球は9個。延長戦でもないのに、179球も投げたのだそうです。9回に逆転され。。。

 

調子が良くなかったのか? いえ、1回のマウンドから帰るときに、主審から「必要以上のガッツポーズはやめなさい。」という趣旨の注意を受けたらしいのです。これでリズムが狂ってしまった。西投手の代名詞ともいえるガッツポーズはなりをひそめ、次第に自分のピッチングが出来なくなっていったのではないか、そしてそこを相手に突かれ、負けてしまったようなのです。  

 

もろい、弱い。こういってしまえばそれまでのことですが、そもそも良くないのは注意せざるを得ないようなガッツポーズを繰り返していた西投手自身であり、それを注意してこなかった監督やコーチにも責任があると思います。  

 

さて、ここまで読むと「じゃあなぜ、ガッツポーズしちゃいけないの。」「しちゃいけないのなら、禁止と明文化すべきだ。」などと言ってくる人たちが必ずいます。

私はこういう意見を聞くと、人としての機微のようなものが、本当に最近は薄れてしまったなと思ってしまうのです。何でもゼロか100かみたいな議論になってしまう。

これくらいならよい、とか、これ以上はまずい、とか。そういう「いい加減」が分からなくなっているように思います。  

 

この西投手が崩れた試合の主審にとっても、言いたくもない注意だったことでしょう。しかし、目に余った。だから毅然と注意した。 その試合を預かる主審として、何の非もないと思います。

 

ここで論点は変わりますが、私はそもそもガッツポーズは、やるなら自分にしかわからない程度にやるのが流儀であると思っています。私は今は全くプロ野球を見なくなってしまいましたが、中学・高校のころは夕食後のテレビでのプロ野球観戦が、一番の楽しみでした。中でも、最も尊敬してやまない王選手の立ち居振る舞いは、人生のお手本と思えるものでした。何年か前の日経新聞「私の履歴書」にも書かれていたと思いますが、王選手は決して派手なガッツポーズをしませんでした。お兄さんから「相手のこと、相手の気持ちを考えろ!」と常に教えられていたのだそうです。

 

ホームランを打った瞬間というのは、800本以上も打った王選手といえども、毎回小躍りしたいくらいうれしかったことでしょう。 しかし、実に静かに淡々とベースを回ってくる。打たれた相手投手はさぞかし悔しい思いであろうことは、誰でも想像できます。 決して、勝ち誇ったようなガッツポーズなどしなかった。何と気品にあふれた人なんだろうと毎日のように巨人戦を見ながら、私は感動していました。別に今回取り上げた西投手を悪く言うわけではありませんが、品格が全く違うのです。

 

  王や長嶋を倒すことに闘志を燃やしていた、あの中日、星野仙一投手でさえ、ガッツポーズはそんなに派手なものではなかったと思います。やはり、王選手の姿を見て、自然とみんなブレーキがかかっていたのだろうと思います。

ガッツポーズはつい出てしまう、自然なものだからしょうがない、という人もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。「よっしゃー!」と思うのと、それを態度で表すのとは違います。そこには意思が必ず介在する。ですから、思わず出るガッツポーズなどというものはないのです。出そうと思って出しているガッツポーズなのです。

 

そこをぐっとこらえるかどうかの話であって、私はこらえるのが麗しいと考えています。そうは思わない方もたくさんいらっしゃると思うのでそれはそれでいいと思うのですが、前段に戻り批判すれば、「ダメだというなら紙に書いて周知しろ。」などという人の民度を疑う、ということなんです。あなたは何でも紙に書いてある通りにやる人、やれる人、やらないと気が済まない人なんですか?  

 

私がプロ野球を見なくなったのは、2000年位から選手になった数人の人たちが、ニヤニヤしながら試合をしているのがとてもいやだったからです。それが巨人の選手だったので巨人ファンでもなくなりました。

とても好きだった、王、江川、そして、松井。
松井がアメリカに行ってしまい、私は日本のプロ野球に興味がなくなりました。

・・・この話はいずれまたいたしましょう。。。。。  

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